陽一郎さんと私の、しょうもない我慢比べ。
けっきょく、また陽一郎さんが電話してきた。

電波状況が悪かったのか、着信履歴も残らず。
SMSが届いていて気づいた。

ちょっと怯んだけど、かけ直してみると、もう体調はよいのかと聞く。
おかげさまでと、答える私。

まぁ、そんな話はどうでもよくて、これはきっと私が自宅にいるかどうか確かめるための電話。

21時を少し過ぎた頃、オートロックのチャイムがなった。

宅配便にしては遅いし。
もしかしてとドアホンのモニターを見たら、やっぱり。

陽一郎さんである。

あれだけ立派なことを言ってたくせに・・・。

私たちは、まったくどうしようもなく、かっこよくない。

ファンタジーの世界で、またしばし我を忘れた。

私は、陽一郎さんには逆らわないことにした。
望まれるままに、こたえてあげる。
今は、たぶんそれでいい。

陽一郎さんのコロンの香り。
陽一郎さんが出ていったあとも、私のどこかに残っていて。
ときどきふっと香るのだ。

私のローズもたぶん。
少し、お土産に持って帰ればいいんだわ。