とてもよく聞く話。 夫とずっとセックスレスだという彼女は、私の旧いお友達。 もう、どんなに頑張っても夫とはそういう関係に戻れそうにない。 かといって、このままセックスレスで一生を終えたくない。 離婚することも考えなくないけど、嫌いになったわけじゃないし。 今は、まだ、そこまでは思っていない。 ただ、セックスがしたいだけなんだ。 ・・・セックスがしたいだけなんだ。 その、あけっぴろげで、とてもストレートな表現に、私はなんだかすごく感動した。 共感したと言ってもいい。 私も同じ。 寂しさを埋めるとかなんとかもっともらしい理由はさておき。 結局のところ、本能がそれを求めてる。 理性でブレーキの効く人は、たとえそう思っても、じゃあさっそく相手を探そうかなんて実行に移したりしないんだろうけど。 実行しないことが良いことなのかどうなのか、私にはなんとも言えない気がした。 本能が命じるままに行動するというのは、いくらなんでも動物的過ぎる。 でも、人間だって動物だもんなぁ。 セックスレスでずっと我慢するのが、人としてより善き生き方なのか。 セックスレスは離婚の原因になるっていうけど、相手が嫌いになったからセックスレスになるってわけじゃなさそうだ。 でも、やはりセックスがしたいなら、離婚するしかないの? 道徳の教科書的に言えば、そういうことになるんだろう。たぶん。 でも、現実には、離婚なんかしなくても、いくらでも他に方法がある。 男性なら、後腐れのない風俗っていうサービスもあるし。 疑似恋愛が楽しみたいなら、不倫という関係も選べるだろう。 私の身近なところでも、奥さんの方が昼間の自由時間を有効活用しているなんて話も聞く。 実際は、セックスレスだからって離婚する夫婦より、他の方法を選択している賢くてずるい人たちの方が多いんじゃなかろうか。 少なくとも、私のまわりではそんな話がごろごろしている。 話を戻して、私が友だちに言ったことは。 私も、気持ちは分かる。 セックスしたいときは、あるよね。 自分にとって性的に魅力ある男と。 たとえ、それがいっときの関係でも。 リスクと天秤にかけて、どうするか決める・・・かな。 そう、積極的に相手を探すかどうかだよねって、彼女は言った。 彼女に、奈緒は自分から探さなくても、そういう人ができるからうらやましいって言われた。  陽一郎さんだって、なんだかんだいって、結局はいつまでも奈緒から離れないもんね。 私は、彼女には、自分が真夜中訳もなく心細くなって泣きながら目が覚める・・・なんて、そういうヘビーな話はしたことないから、たぶん、そう思うのかもしれないな。 客観的な事実と当たり障りのない感想は話しても、弱い自分を出さないなんて、なんか素直じゃないし、カッコつけてるよなぁ。 そう思ったから、私の前ではいつも素直な彼女には、本当のことを話した。 セックスする相手が何人いても、私は寂しいときは寂しいよって。 いっときの快楽は得られるかもしれないけど、それと引き換えに異様なまでに心底寂しい夜が来るってことも。 彼女は、それでもまだ納得してない様子だった。 相手の立場になりきることはできないから、それも仕方ないこと。 結婚した相手に、ずっといつまでも性的な魅力を感じること。 しかもお互いに! それが、ごく当たり前にできている夫婦も、きっと沢山いるんだろう。 そういう夫婦は、うらやましいなって思う。 でも、私には無理だね、前科一犯だしって言うと、彼女に励まされた。  そう?相手次第かもよ。 うーーーーん。 たぶん、そうじゃない気がする。 私が、今、したくてたまらないと思うあの人とも、結婚してしまえば、いずれセックスしなくなる予感。 陽一郎さんとは、私はずっとしたいって思う自信があるけど、陽一郎さんは私に飽きるような気がする。 お互いにっていうところが、本当に難しい。 彼女とも、その点ではすごく意気投合した。  学生時代はさ~。  同じ相手とあんなに飽きもせずやってたのにな~。  なんだか遠い昔だよ。 そう、彼女は最初の相手と結婚して今に至るまで、ずっと彼だけ。 彼以外とはキスさえしたことがない。 やはり、彼女の立場になってみないと、その気持ちは分からないのかもしれないな。